部屋の中に濃霧
雑誌で電源周りの改善方法を読んだ。
理想の電源とは、変動がない直流が良いとのこと。
それはそうなんだろうけど。でも、直流ってことは、もしかしてバッテリー駆動ってことか?
当時は現在のように性能の良いバッテリーなどなかった。確か海外メーカーでバカ高いアンプがあったような記憶があるが。
あるいは腕の太さくらいある電源コンデンサが搭載されているパワーアンプなんていうのも記憶にある。
いづれにしても電源の脈流をできるだけ小さくすることがノイズの低減や正確な増幅に繋がるということ。
じゃあ、今使っているアンプの電源回路のコンデンサ容量を上げたら良いのでは?
カセットデッキのカバーを外して中を見てきた俺にとって、ステレオアンプのカバーを外す開けることは造作もないこと。
さらに手元には、知人の家で分解したときにもらった大きな電解コンデンサーがある。ちょっと古いけど大丈夫だろう。
付ける前と後の違いを確認したくて、電源を入れたまま、繋いだり外したり試してみようと。
バチッとか、ボンとかの音と同時に、目の前が真っ白に。指先がジーンとしびれている。
耳はキーンとなって・・・
いったい何が起きたのかしばらくわからなかった。
我にかえって部屋を見渡すと一面、霧のように真っ白。
そして父親が扉を開けた。
「何があった?」
「・・・うん、大丈夫。」
何が起きたかわかるまで少し時間がかかった。
つまり電解コンデンサを繋いだ瞬間、大電流がコンデンサに流れ劣化していたせいか、爆発を起こしたようだ。部屋の中が白くなったのは、電解紙と呼ばれる電解液を染み込ませた紙が爆発の際に部屋中に舞ったためのようだ。
教訓 通電中の操作は厳禁。
事故にならなくてよかった。