自称オーディオファンの備忘録

オーディオが好きなおっさんのいろいろな話

マイクロ・カセット

磁気テープの規格には、オープンリール・テープ、カセットテープの他にも種類がある。
オーディオ用に絞っても、DAT、エルカセット、マイクロカセット、8トラック(カラオケ用)と、既に無くなった物もある。


マイクロカセットは、当時の用途として、会議録音用とか固定電話の留守電用として、使われていた。

当然、オーディオとしての利用はあまりなかったのだが、ポータブルとしてはカセットテープより小型にできるメリットから、数製品オーディオ用として発売されたと記憶している。

テープ幅はカセットテープと同じでも、テープスピードが半分の約2.4cm/sしかないため、音質としては不利だった。


ところが、聞いたことのないマイクロカセットテープが発売されることを知った。

「蒸着テープ」である。通常、磁気テープは、磁性粉をベースフィルムに塗布されているのだが、真空蒸着という方法で、ベースフィルムに磁性体を蒸着させる・・・フィルムにメッキをするようなイメージとでもいうのだろうか。


塗布するためには、接着剤の役目をするものが、どうしても必要なので不純物が含まれることになる。

しかし、蒸着の場合はその不純物がないため、磁気テープとしての特性はよくなる。


そんなメーカーカタログを眺めながら、ふと妙な考えが浮かんできた。

元々、カセットテープの録音時間は長さで決まるのだが、限られたリールサイズに巻き取れる長さは決まっている。

45分、60分で、約18ミクロン。90分で、12ミクロン。120分だと、9ミクロンとなっている。

一方、マイクロカセットテープは、確か、9ミクロンだったかと。しかし、蒸着することで磁性体の部分を薄くできるため、トータルで6ミクロンだったような。。。記憶が曖昧。


テープ厚が薄く、磁気性能が良いのであれば、6ミクロンのテープをカセットテープに入れれば

、180分テープが出来てしまうのでは?

早々、やってしまった。蒸着のマイクロカセットテープを数本買い込んで、カセットテープを分解。

とりあえず、2本のマイクロカセットをカセットテープへ。途中、スプライシングテープで繋いでみた。

なんとか、カセットテープに収まった、蒸着テープは完成した。そもそも蒸着テープ用のテープポジションはないのだが、まあそこはハイポジションでとりあえずチャレンジ。


録音・再生は意外にも普通にできた。厳密には調整が必要なのだが、結構あっさりと使用できた。と思ったのだが。

テープ厚が薄いということは、僅かな歪みでも走行に影響が出てしまう。

数回使ってみたが、磁気特性云々の前に、デッキの走行性能が6ミクロンには適さなかったようだ。


尚、正式なカセットテープ版、蒸着テープはその後発売されたのだが、興味はあったものの使ってみることはなかった。

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