自称オーディオファンの備忘録

オーディオが好きなおっさんのいろいろな話

バランス接続

バランス接続と言えば、専門学生時代、スタジオ工学か何かの授業でマイク・ケーブルの説明で聞いた覚えがある。
基本的に音声信号は交流信号だが、信号を送るためには最低限、+と-が必要だ。
単純に考えれば2本の電線でことは足りそうなのだが。
スタジオなどで使用するプロ用のマイクなどは、この2本の他にアースを設けている。
ケーブルはシールドタイプを用い外来ノイズの影響を極力避けるよう考えられている。
つまり、+、-ch、グランドの3本となり、ケーブルの断面を見ると、2本の心線を絶縁材で包み、その外側をシールド部分(一般的に網線が多い)で覆い、一番外側を被覆で包んでいる。
マイク1本分で3つ使うわけだから、ステレオ録音の場合、最低マイク2本となりケーブルは、この仕様のものが2組必要になる。マイクのプラグ・ジャックも3つの接点のものを使用する。
信号線・・・つまり、+と-が、同じように扱われているので・・・バランス型。
しかし、民生機器では本来分離すべき、-とグランドを兼用しているために、+と-の条件が異なる。そのため、バランス型に対してアン・バランス型と呼ぶ・・・らしい。


-とグランドを兼用しているのは、主にコストの問題があるから、らしい。
例えば、1本のケーブルでステレオ信号を扱う場合、Lchの+,-とRchの+,-。グランドを共通としても、心線が4本のシールド線が必要になる。
グランドとLch、Rchの-を兼用すれば、LchとRchの2本だけ心線にすればいい。
民生用でアン・バランス接続が主流になったのは、この辺に理由があると思っている。


最近の有線接続のイヤーフォン・ヘッドフォンに、バランス型が増えてきている。
これは、ケーブルのコストが以前に比べ下がってきたこと・・・つまり多芯ケーブルの製造が容易になってきたことと、やはり音質の良さがあるのではないかと思う。


アン・バランス型では、-が共有されているため、どうしてもLch、Rchの信号が互いに交じり合う。つまりクロストークが発生してしまう。このクロストーク成分が微妙に影響し音像がボケてしまっている。


しかし・・・それがわかっていても、アン・バランスの世界から脱却するのは難しかった。
ステレオ・プラグは3極しかない。機器からはアン・バランスで出力されている。
よって、接続するイヤーフォン・ヘッドフォンも必然的にアン・バランスになる。


今。手元にUSB DACのバランス型がある。デジタルの世界では、信号レベルでLchとRchを分離出来るので・・・例えば、スマートフォンからダイレクトにデジタル信号が出せれば、DAC内でアナログ信号に変換する際、バランス出力として扱える。
もちろんそのためには、ヘッドフォン・プラグもバランス型が必要になるし、ケーブルもその必要がある。ちなみにイヤーフォンやヘッドフォンには、グランドがないので、Lch+,-、Rch+,-の都合、4極となる。


今はとても良い時代だと思う。ゼンハイザー IE80SとSONY EX600は、どちらもケーブルを交換できる。残念ながらユニット側のコネクタ形状が異なるのでそれぞれ用意しなければならないが。プラグは2.5mmの4極バランス型のケーブルが・・・Amazonで買える。


バランス型出力のUSB DACと上記のケーブル2種類で、1万円を少しだけオーバー。
そしてバランス出力の効果は・・・これはさすがに驚いた。
IE80Sは、さらにワンランク上の音を聴かせてくれる。なにより、音の定位が素晴らしい。
DACが変わったせいなのか、バランス接続になったからなのかは、よくわからないのだが。


バランス型の音については、もう少し聴きこまないといけないな。

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