自称オーディオファンの備忘録

オーディオが好きなおっさんのいろいろな話

エイジング

かつて、オーディオの趣味を始めた頃「エイジング」という言葉を知った。
そして、エイジングを行うことで音が良くなると信じてきた。
しかし、良く耳にする「アンチ・エイジング」という言葉。
老化を防ぐということになるが、ではオーディオにおけるエイジングは本当に良いことなのだろうか?


スピーカーやヘッドフォンなど、基本的にコーン紙を振動させて音を出す部分には、コーン紙を支えるダンパーがあり、この部分をある時間使うことで、動きが柔らかくなって音が良くなる。しかし同時に劣化も始まっているのではないだろうか?


最近、自転車のブレーキパッドが減ってきたので交換した。
新品のブレーキパッドは、タイヤのリムとの当りが馴染んでいないため、急激な制動が、かかることがある。しかし、しばらく乗っていれば適度にブレーキパッドが摩耗してリムとの当りが良くなってきて安定した制動がかけられる。


これと同じようなことが、オーディオにも言えるのではないだろうか?
新しいスピーカーやヘッドフォンは、音がトゲトゲとしていまいちだが、少し使っていると、まろやかになって良い音(聴きやすい音)として受け取っているのではないのだろうか?


以前、エイジングの必要性について賛否あったことを覚えている。
しかし、エイジングをしなくても使っているうちに、劣化していくわけだから結局は同じ道を進むことに変わりはない。パーツの劣化はいづれにしても進んでいくわけだから。


その他の機器、アンプ類はどうだろう?
一般的に10分から20分程度、使用する前に電源投入するといいと聞いたことがある。
いわゆるウォームアップである。これは実感したことがある。特に室温が低い時などは明らかに音に影響がある。やはり、電子回路に通電しておくことで電子パーツも温まり安定した動作をするのだろう。
真空管アンプなどは、カソード電極を温めておかないと動作しないのでまた別の理由となるが、基本的にはどちらも電子回路なので共通している部分も多いのかもしれない。


同様にレコードプレーヤー、特にカートリッジのダンパー部分やターンテーブル、トーンアームといった機械部分は動作安定のためにウォームアップは必要だと思う。
デッキ類も同様に機械部分があるので、テープ1本聴く時間くらい温めていた。


結局、エイジングとは、意図的に劣化を進め良い音が出るところまで持っていくことなのではないだろうか。そして「良い音」と感じられる時間が長ければ「良い製品」、「良い音がする」となるのではないだろうか?


オーディオの世界はどうしても個人の主観が大きく影響する。せめて自転車のブレーキパッドのように明らかに結果が出るものであればわかりやすいのに。


今、これを書いている横で耳に付けていないイヤーフォーンから音が出ている。
劣化が進むとわかっていても・・・エイジングをしている。

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