Wired vs Wireless vs Balance
単純に有線式と無線式、そしてバランス式の比較は非常に困難である。なぜなら同条件で伝送方式のみを比較するのは他の条件まで変わってくるためだ。
同じイヤーフォン・ユニットを使って伝送方式だけを変えて比較・・・ということが簡単に出来ればいいのだが。
先日、友人からもう使わないからと
「Bluetoothイヤフォン ネックバンド IE 80S BT」を譲り受けた。これはIE80Sをワイヤレス化するものになる。
バランス出力が行えるUSB DACは購入時にIE80S用のバランス・ケーブルは合わせて購入済み。
つまり・・・
有線式=オリジナル・ケーブル
無線式=IE80S BT
バランス式=ibasso DC01+バランス・ケーブル
と、IE80Sを使って3つの伝送方式による音の違いが確認できる。
ただ、厳密には出力アンプが異なるため、正確な比較にはならないのだが。
参考までにそれぞれの出力機器は、
有線式=Xperia5Ⅲ ヘッドフォン出力
無線式=IE80S BT
バランス式=ibasso DC01
と、それぞれの機器の出力となる。
まず、有線式。スマートフォンとしては音が良い?と評価されるXperia。5Ⅲになってより品質は良くなったと思っていたが・・・実はあまりダイレクトに聴いたことがなかったので改めての試聴となる。結論から言って、結構これでも普段聴きには充分ではと感じるくらい良い音だと思った。
では、ワイヤレス IE80S BT。有線式と比較して非常にまとまった落ち着いた感じがする。ゼンハイザーIE80S用にチューニングしているだろうから当然だろうが、優等生的音が聴こえる。この「優等生」的な音は実はあまり好みとは言えない。つまらないのである。どちらかといえば、少しくらいジャジャ馬が使っていて楽しい。イヤーピースを変えたり、EQで補正したりして好みの音に近づけていく。
しかし、IE80S BTは何もしなくても良い音がする。
バランス式はどうだろうか?
ibasso DC01は、発売から3年近く過ぎているため最新型ではないのだが、やはりバランス出力は次元が違う感じがする。というのが今までの経験値となる。さて、IE80Sを繋いで音を出す。
違う!明らかに違う!楽器の定位が明確にわかる。
定位についてはバランス式を聴くまでは、有線も無線も同じような感じで頭の中に音場が作られるのだが、バランス式は音場が少し広がり、楽器やボーカルの位置が非常に明確になる感じがする。
さらにいえば平面的でなく立体的に音場が作られる気がする。またボーカルは口元が見えるくらいの臨場感を感じる。バランスの唯一の欠点はスマートフォンのバッテリーの消費が激しいのとDAC本体が少し熱くなることだ。それさえなければ、バランス式、1択なんだけど。
予想通りの結果といえばそうなのだが、意外にもXperia5Ⅲ本体のオーディオ性能が良かったことは新たな発見だった。
しかし、バランスの音は心地よく聴くというより、なぜか緊張感が漂う。つまり、長時間の試聴は・・・結構疲れるということ。
何れにしてもバランス式以外は、そこそこ高レベルでの好みの違い程度と感じた。
普段聴くには有線式で気楽に。通勤や外出時はケーブルが邪魔をしない無線式。
そしてじっくり音楽を楽しみたいときは、バランス式といったチョイスになるのだろうか。